■ 山本準也観戦記(決して折れることのなかった80分間)   09/01/10
   決して折れることのなかった80分間
                             08年卒 山本 隼也


 「大敗か、善戦か」、この日、北大フィフティーンの姿を直接脳裏に焼き付けていたものなら誰もがその感覚を有したであろう。スコアは0-52。どう思うべきか。


 2008年12月14日、仙台。すでにスタンド観戦において並みの防寒対策では太刀打ち出来ないような季節である。先に北大がピッチに姿を見せる、少し遅れて筑波が全員一礼してからピッチに入っていった。感じたのは筑波の大きさ。ロックの大きさと、全体的にも北大よりも一回りは太いといった印象を受けた。やはり、結果的にセットでの差は出た。


 中身の濃い時間を乱暴に書いてしまうことを許してもらいたい。ゲームの流れをざっと書いてしまうと、試合時間のほとんどを自陣で過ごし、試合時間のほとんどを筑波がアタックしていた。開始直後からペナルティーを起点に自陣5mでの攻防を強いられる。10分の抵抗後、トライ。先制を許す。以後、20分、23分、26分、40分、62分、73分、79分と計8トライ、ゴールが6本決まり、0-52というスコアになる。


 タックルして、タックルして、タックルして。その繰り返しと、素早く立ち上がり次のDF網を構築し続けていた選手たちに恥じるものは何もなかった。観ていてそれを繰り返し続けた後輩たちが誇らしかった。その部分では相手を勝っていた。ただ、そのDFから相手のボールを奪うことができなかったということと、自分たちのアタック時間を確保できなかったというだけである。大敗→善戦(接戦)→勝利という位置づけがあるとすれば、大敗から善戦に持ち込むことはDFのタックルをとにかく極めればいい、それで達成できるかもしれないが、次にその善戦から勝利へとなるとどうしてもタックルだけでは次に進むことはできない。


 今年のチームはここまでキックをうまく使い、自陣深くであまりゲームをすることがなかったが、この試合では相手の好キック連発と自らのペナルティーで相手にうまくエリアを取られてしまったというのもこれまでのゲームとは違っていた。また、自分たちがアタックしているときのミスや不用意なペナルティーがどうしても点を与えられない展開の試合には本当に響くということを実感したのではないか。


 とはいえ、五年ぶりの関東第五代表決定戦進出である。そこを目標にシーズンを過ごしてきたチームがその目標を達成したということは評価に値することには違いない。またこれによって、来期は「大学選手権出場」という目標を掲げる権利を得ているのだ。むしろこの制度でこの位置にいる者の義務なのかもしれない。後輩たちはとてつもなく偉大な、そしてとてつもなく重たい遺産を残してもらった。


 関東第五代表決定戦に出てくる、毎日練習をして、常に高いレベルで揉まれ続けている彼らに勝つためには何をすべきなのか、その答えはないのかもしれないし、もし出たとしてもそれは全部員が実行するにはとても困難なものなのかもしれない。ただ、10回戦って10回勝たなくてはいけないわけではない。それは不可能だろう。何度負けようとも、たった1回、関東第五代表決定戦という場で勝てばいいのだ。どのチームも関東のチームで関東第五代表決定戦その日をターゲットにしているチームなんていない。だが、北大はその日だけを見てチームを作ることができる。チーム全員が関東第五代表を目標にする。それだけを考えれば可能性が大きく広がるに違いない。すべては関東第五代表決定戦までのプロセスであり、その試合がチームのピークであるという意識の下で1年間を過ごすことができれば、それは大きなアドバンテージだろう。


 ここで私自身の話をさせてもらうと、自分が入学する前年(03年)と前々年(02年)に北海道大学ラグビー部は関東第五代表決定戦に出場していた。高3の冬、北大ー筑波大。浪人の冬、北大ー日大。北海道出身ということもあったが、大学選手権を狙える位置にいる北大というものに強く惹かれた。そして入部した。ある私の同期は入学時にこう言った「あと一勝で大学選手権に進めるこのチームに、自分が入ってその一勝を達成したいと思って入部した」と。とてもうれしかったし、感動した。そしてそういった思いを抱いて入学してくる新人が増えればチームはもっと強くなれるのではないかと思う。敗戦の悔しさが冬を越し、体育館練で鋭さを失い丸みを帯びてきたころに、ぎらぎらとした新人がチームにまた鋭さを取り戻させてくれる。09年度にも受験前にこの北大ラグビー部の戦いを目にして、または耳にして受験を乗り越えた新人が必ず入ってくるはずである。


 そして、また今回も北大のスターティングメンバーにラグビーを大学から始めた選手がいた。これはこのレベルに出てくる私立大ではありえないし、同じ国立大の筑波でもありえないだろう。対抗戦Aグループに東大がいた頃は、大学から始めても高いレベルの試合を経験する機会はあった。しかし、東大ラグビー部が対抗戦Bグループにいる今、北大でしかそんな真剣勝負の機会は得られないのだ。この先もそんな選手がいる限り、北大ラグビー部は稀有な存在であり続けるし、人々を惹き付ける光を放ち続けるに違いない。


 少し観戦記とは方向性が逸れてしまったが、本当に80分間、無心で相手に挑み続けた選手たちに感動を与えてもらった。試合後の選手たちの発言はどれもみな前を向いていて、この結果に満足していないということを感じ、今後への大きな期待を抱かせてくれた。


 最後になるが、今回ピッチに立っていた15人、ダークグリーンを着られた22人、それ以外のジャージを着られなかった部員全員、マネージャー、チームスタッフ、そして、ラグビー選手として尊敬して止まない橋本主将の1年間に敬意を表したい。





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